自動車ローンで知っておくべき消滅時効のポイント
2024/04/22
自動車を購入する際にクレジット会社(オリエントコーポレーション、アプラス、ジャックス、トヨタファイナンス等)を使ってローンを組むことがあります。その際に、自動車の所有者を販売店もしくはローン会社、使用者を購入者として、所有権を留保される、いわゆる所有権留保という形式があり、車検証には所有者と使用者には上記の内容で記載されています。この所有権留保はローンを完済すれば解除され、所有者を購入者へ変更できるようになります。ただ、購入した自動車に、この所有権留保が付いていたとしても、自動車ローンは一定期間が経過すれば消滅します。今回は、自動車ローンに関する消滅時効で知っておくべきポイントについてご紹介します。
目次
自動車の所有権留保とは
自動車ローンにおける所有権留保とは、自動車の購入時に販売店もしくはローン会社が所有権を留保することです。これは、分割払いで購入した自動車の購入代金を完済するまで、購入者は自動車の所有権を取得できない状態となります。 この所有権留保は、購入者が支払い義務を履行するための保証として販売店もしくはローン会社によって設定されています。自動車ローンの支払いが完了すれば、留保されていた所有権は購入者に移転し、自動車の所有者となることができます。 しかし、支払いが完了しなかった場合、販売店もしくはローン会社は所有権留保に基づき、自動車の引揚げを請求されることがあります。所有権留保は、販売店もしくはローン会社にとってリスク回避となり、購入者にとっては自動者購入代金の支払いを分割できるといったメリットがあります。ただし、支払いが完了するまで所有権を持てないというデメリットもあるため、契約内容をよく確認し、支払い計画を立てて購入することが重要です。
自動車を分割払いで購入した場合に、契約上、所有者である販売店やローン会社が自動車の所有権を留保し、分割払いが完了するまで所有権を保有する所有権留保が設定されることがあります。しかし、この所有権留保と自動車ローンは別であり、自動車ローンの支払いを延滞している場合は、他のローンや借入と同様に、自動車ローンの消滅時効を援用できる期間は最後の返済から5年です。つまり、所有権留保がついていても、自動車ローンは消滅時効を援用すれば消すことができます。なお、自動車ローンを延滞した場合、通常であれば、所有権留保を行使して販売店やローン会社が自動車を引き揚げます。この場合でも、急に引揚げに来るのではなく、多くの場合は事前に引揚日時を決めてからの対応となります。そして、引き揚げられた自動車はオークションにかけられて売却され、自動車ローンの残代金に充てられ、最終的に残代金を全額精算できない場合は、残代金の支払いが発生します。分割払いにより自動車購入を行う場合には、完済するまでは定期的な支払いが必要であることを忘れないように注意が必要です。
時効援用に必要な書類と手続き
自動車ローンに対して時効援用を行うためには、自動車ローンの最後の支払いから5年以上経過していることが必要です。その期間が経過すると、時効援用の手続きを行うために、ローン会社に対して消滅時効を援用する書類を送ります。その書類には、時効によって自動車ローンが消滅していることや時効を更新するような事由があれば、証拠となる書類と共に連絡をするというような内容が書かれています。また、当該債権についての契約関係を確認するため、債務者の氏名や住所を記載します。これらの内容を書いた書類を正確に作成し、手続きを行うことで、自動車ローンの消滅時効援用を行うことができます。ただし、書類の不備があった場合、時効援用が認められないことがあるため、注意が必要です。専門家である行政書士に相談することで、スムーズな手続きが行えるようになります。
時効援用の失敗を防ぐために取るべき対策とは
ローン会社に対して消滅時効の援用をしたにも関わらず、5年が経過する前に裁判や返済、承認があったため、時効援用ができずに失敗することがあります。このようなことにならないために、時効援用をする前に以下の確認が必要です。
・最後の返済から5年以内に裁判されていないか。
・最後の返済から5年以内にローン会社に対してローンの承認をしていないか。
・最後の返済から5年以内に一部の返済をしていないか。
上記のようなことがなければ、消滅時効を援用して自動車ローンを消滅させることができます。ただ、それぞれの確認事項には法律的な知識が必要であり、自身で判断するには難しい場合があります。できる限り確実に時効援用を進めていきたいとお考えであれば、専門家である弁護士や司法書士、行政書士に相談することをお勧めします。専門家に相談することにより、時効援用の失敗による損失を防ぐことができます。
自動車ローンの消滅時効が成立した場合の所有権留保に対する対応
自動車ローンの消滅時効が成立した場合、ローン会社に対する返済はなくなります。しかし、所有権は時効によって消滅せず、自動車ローンの消滅時効援用でも影響を受けないため、自動車の所有者はローン会社のまま残ってしまいます。この所有者をローン会社から自分の名義に変更するためには、ローン会社との話し合いにより所有権を放棄してもらう必要があります。ただ、自動車の価値によっては、自動車の引揚げを主張される可能性もありますので注意が必要です。ローン会社との話し合った結果、所有権の放棄をしてもらうことができれば、所有者変更の必要書類が送付されます。その書類に使って所有者変更の手続きをすれば、所有者を自分の名義に変更することができます。
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