行政書士おおとり事務所

時効援用とは?更新事由を簡単解説

お問い合わせ コーポレートサイト

時効援用とは?更新事由を簡単解説

時効援用とは?更新事由を簡単解説

2024/08/13

 時効援用は、債権者が一定期間、請求等の権利を行使しなかった場合に、債務者がその負担を軽減するための重要な手段となります。しかしながら、時効が成立するためにはいくつかの要件や更新事由が存在するため、理解が求められます。この記事では、時効援用の基本概念と共に、更新事由についてもわかりやすく解説していきます。これにより、自身の権利や義務を正しく理解し、適切に対処できるようになることを目指します。

目次

     ◆ 時効援用とは ◆ 

     時効援用とは、時効の完成によって利益を受ける者が、時効の効果を確定的に発生させる意思表示をすることです。当事者が時効を援用しない限り、時効の効果は発生しないものとされています(民法第145条)。5年以上返済していない借金がある場合、時効援用をすることにより、その借金をゼロにできる可能性があります。借金をゼロにする時効援用は、消滅時効というものになります(民法第166条)。一方、所有の意思をもって物を一定期間占有したとき、その物の所有権を取得することができるという取得時効という制度があります(民法第162条)。権利の消滅と取得という相反する効果が発生しますが、どちらともに一定期間の経過を援用の意思表示により消滅又は取得が発生するという共通の効果があります。

     ◆ 時効の更新とは ◆ 

     次に、時効の更新に関して説明していきます。時効の更新とは、これまで経過してきた時効期間をゼロに戻して、再スタートさせることです(民法第152条)。具体的な更新事由は以下のとおりです。

    ①確定判決
    ②裁判上の和解等の確定判決と同一の効力を有するものによる権利の確定
    ③強制終了等の手続きが申し立ての取り下げまたは法律の規定に従わないことにより取り消されることなく終了した場合
    ④相手方が権利を承認した場合

     ①と②に該当した場合、時効の完成期間が5年から10年に伸長されてしまいます(民法169条1項)。その結果、裁判等で権利が確定した場合、その確定から10年間は時効が成立していないため、時効援用ができないことになります。

     ③は、例えば、給与の差押え、預金の差押え、住宅の競売等、債務者の財産に対する強制執行や担保権が執行されて、執行手続きが終了すれば時効が更新されます(民法148条2項)。なお、強制執行等の申立てが途中で取下げられた場合、時効更新の効果は発生しません。また、強制執行が取下げられた場合には、取下げにより手続きが終わってから6ヶ月間は時効が成立しません(時効完成猶予・民法148条1項)。

     ④は、時効期間の進行中に、借金を認める、返済する、支払いの猶予を相談する、というようなことがあれば、その時点で時効更新の効果が生じ、時効期間の計算はリセットされて振出しに戻ります(民法152条)。その結果、この承認から新たに時効期間が進行することになり、5年または10年が経過しないと時効援用ができなくなってしまいます。

     このように、上記の事由に当てはまると時効期間が振出しに戻ってしまいます。特に借金の消滅時効の場合、債権者とのやり取りの中で承認してしまい、時効期間がリセットされた場合が多くあります。昔の借金のことで督促があった場合は、時効が成立していないかどうかを確認することが重要です。

     ◆ 時効の完成猶予とは ◆ 

     先ほど説明した時効の更新とは別に時効の完成猶予というものがあります。この時効の完成猶予とは、時効完成が一定期間引き延ばされることです(民法第150条)。例として、債権者より請求書等が送付された催告を受けた場合、時効の完成が阻止され、一定期間は時効が完成しなくなります。なお、この時効の完成猶予は一定事由があれば発生しますが、時効の更新のように時効がリセットされるわけではなく、時効の完成が一定期間引き延ばされるだけですので、注意が必要です。

     ◆ 時効の更新と完成猶予の違い ◆ 

     時効の更新と完成猶予は時効の完成を阻止する点は共通しています。一方で、時効期間をリセットするのか、一定期間先延ばしにするのか、に違いがあります。時効の更新であれば、時効期間をリセットできるため、請求する側に有利な効果が生じますが、時効の更新をするためには裁判の提起や強制執行、相手方の承認等、準備や実行に手間がかかります。また、時効の完成猶予をするためには時効の更新事由以外に仮差押や仮処分、裁判を通さない催告、当事者の協議等、時効の更新事由に比べて簡易的な手続きによりできる場合があります。時効が更新されたのか、時効の完成が猶予されたのかを判断するには専門的な知識が必要です。法律の専門家である行政書士に相談すれば、時効の更新や完成猶予に関する判断をすることができます。

     ◆ 専門家に依頼するメリット ◆ 

     行政書士は、法律に基づくさまざまな事務手続きを専門に扱う資格職であり、法律的な知識と実務経験を基に、多様なサービスを提供することで、依頼者の安心と信頼を得ています。時効においても、時効の更新や完成猶予を正確に判断していくことにより、依頼者の悩みを解決することができます。昔の借金から請求されている、身に覚えのない借金で督促されて困っている、この借金は時効ではないか等、お悩みがありましたら、当事務所へご相談ください。時効かどうかの判断から時効援用手続きまで全てワンストップで対応しております。

     ご相談のご連絡をお待ちしております。

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。