専任技術者・主任技術者・監理技術者の違い
2024/10/23
建設業の許可を受けて工事を施工する建設業者は、 建設業法の定めにより、技術上の管理を行うため、施工する工事現場に一定の資格または経験を有する技術者を配置する必要があります。この配置される技術者は、建設業許可取得に必要となる専任技術者とは別の技術者であり、工事現場に配置されていないかった場合は建設業法違反となりますので注意が必要です。本ブログでは、専任技術者・主任技術者・監理技術者のそれぞれの違いを解説していきます。これらの専門家の役割を再認識することで、建設現場の未来をより良いものにしていきましょう。
目次
【専任技術者とは】
専任技術者は、一定水準以上の知識や経験、国家資格を持つ者がなることができます。具体的な知識や経験、国家資格が必要になるのかは、建設業許可の種類や建設業の業種によって異なります。この専任技術者は建設業許可を取得するための要件であり、専任技術者は請負契約の適正な締結と締結した工事の履行を確保するため、建設業の許可を取得しようとする営業所に常勤する必要があります。この専任技術者がいない場合、建設業の許可を受けることができません。そのため、他社の専任技術者と兼任はできません。そして、常勤性は、健康保険証により証明することが多いですが、住民税特別徴収税額の通知書や法人の役員であれば、法人税申告書の役員報酬明細等により証明することもできます。
【主任技術者とは】
主任技術者とは、元請や下請、工事金額に関わらず、全ての工事現場に配置しなければならない技術者のことです(監理技術者を配置する場合を除く。)。主任技術者の役割は、請け負った建設工事を適正に実施するため、工事現場における施工計画の作成や工程管理、品質確保の体制整備、検査・試験の実施、工事目的物・仮設物・資材等の品質管理、その現場で施工に従事する技術者の指導監督などです。また、専任技術者になるための要件は営業所に専任であることでしたが、主任技術者になるためには、所属する建設会社において、直接賃金や労働時間を取り決められた雇用関係を結び、一定の期間にわたり勤務、かつ毎日一定時間以上、仕事に従事するという所属する建設業者との間で、直接的かつ恒常的な雇用関係が要件となります。よって、退社からの出向者や派遣社員は、直接的な雇用関係には当たらないため、主任技術者になることはできません。
主任技術者になるためには、専任技術者と同様に一定の資格や経験が必要になります。
①一級・二級国家資格者(建設業種に応じて定められています)
②10年以上の実務経験
③学歴(指定学科卒業)+実務経験
【監理技術者とは】
監理技術者とは、建設現場において、現場全体の技術面の管理監督を担う技術者です。具体的な仕事は、施工計画の立案、着工後のスケジュールの進捗管理、施工図で定められた仕様や品質によって工事が進められているかを確認する品質管理、その他の技術上の管理や工事従事者に対する安全確保などを含む指導・監督など、様々なものがあります。また、一定規模以上(4,500万円以上・建築一式の場合は7,000万円以上)の工事現場には、主任技術者に代えて置かなければならない責任者であり、それだけに高い技術と豊富な経験が求められます。そして、監理技術者になるためには、指定建設業7業種において1級土木施工管理技士や1級建築士、1級電気工事施工管理技士などの1級国家資格などを保有しているか、建設業22業種において必要な実務経験年数を経るなどの要件を満たしている必要があります。
【各技術者の重要性】
専任技術者・主任技術者・監理技術者は、建設業許可の取得だけではなく、適正な工事現場を運営するために欠かせない存在です。専門的な知識と経験を用いて、法律や規制を遵守しつつ、高品質な建設を実現します。その役割は、工事現場における円滑な進行をサポートするだけでなく、潜在的なリスクを識別し、適切な管理手法を講じることにも及びます。これにより、工事現場における工事の遅延や品質低下を未然に防ぐことが可能です。今日、より高い専門性が求められる中、専任技術者の重要性を再認識することで、今後の建設業の発展を促進できることでしょう。
建設業許可に関するお悩みは当事務所へご相談ください。