特定技能とは?制度の詳細を解説
2024/09/26
特定技能は、2019年に新たに作られた在留資格です。人手不足とされる12の分野において、外国人の就労が可能になります。この特定技能には1号と2号があり、今後も対象分野が追加されるなど、現在、注目度が高い在留資格です。この特定技能により人材不足を解消するとともに、日本の国際化を促進し、グローバルな人材交流を活発化させる目的があります。特に、特定技能の資格を持つ外国人労働者は、日本の企業にとって貴重な新しい視点やスキルをもたらす存在とされており、その需要は年々増加しています。本コラムでは、制度の仕組みや取得の要件、就労できる業務などを解説します。
目次
■特定技能1号■
特定技能1号は、「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」です。具体的な分野(業種)は次のとおりです。
①介護
②ビルクリーニング
③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
④建設
⑤造船・舶用工業
⑥自動車整備
⑦航空
⑧宿泊
⑨農業
⑩漁業
⑪飲食料品製造業
⑫外食業
特定技能1号の資格を取得するには、原則として業種別の技能試験と、日本語能力試験に合格する必要があります。なお、技能実習生として来日し「技能実習2号」を良好に修了した人は、これらの試験を免除されます。在留期間は最長でも5年までで、家族の帯同は認められていません。
■特定技能2号■
特定技能2号は、「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」です。熟練した技能と一定以上の実務経験を持つ外国人を対象とした資格であり、受け入れ可能な分野(業種は)、1号の対象分野から介護を除いた11業種です。また、特定技能1号より高度な技能試験に合格する必要があるため、一定の実務経験が求められます。そして、条件を満たせば、配偶者と子の帯同ができるようになる以外に、在留期間の更新を受ければ上限なく滞在ができるようにもなり、条件を満たせば永住権取得も申請ができるようになります。ただ、実務経験や高度な技能試験の合格が必要になるため、認定を受けることは難しく、この特定技能2号により就労する外国人はごく少数です。
■特定技能と技能実習との違い■
特定技能は、即戦力の外国人を労働力として受け入れる在留資格のため、労働者には一定のスキルと日本語の能力が求められます。また、労働力の確保が目的であり、業務に含まれる場合は単純労働が可能できるため、技能実習に比べて幅広く働くことができます。そして、外国人労働者を受け入れる企業が直接現地で雇用をしたり、あっせん業者を利用したりして労働者を確保することができます。その上、職種、スキルが同一であれば、別の職場へ転職することもできます。
一方、技能実習は開発途上国から実習生として外国人を受け入れ、日本の技術を母国へ持ち帰ってもらうことが目的です。そのため、スキルや日本語能力などの条件は設けられておりません。受け入れができる分野(業種)は農業・漁業や機械製造など90の分野(業種)があり、特定技能よりも分野の数は多いです。しかし、受け入れ先の企業が直接実習生を集めることはできず、現地の機関が実習生を集めて日本へ送り出し、日本では非営利の監理団体が実習生を受け入れて企業へ送り込みます。また、日本に技術を学びに来ているため、技術を必要としない単純労働をすることは認められていません。そして、母国へ帰ることが前提なので、家族帯同などもありません。
■特定技能の今後に対する可能性■
特定技能は、少子高齢化社会になり人手不足が深刻となっている日本において、特定技能による外国人労働者の存在はその解決策の一つとして今後も重要な役割を担い続けるでしょう。今後、特定技能の範囲が広がることで、より多くの外国人が日本に来て就労することが可能となります。この特定技能の在留資格に、新たに「自動車運送業」、「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が対象として追加されることが決まっています。そして、このような流れは、労働市場の活性化や、異文化理解の深化にも繋がり、国際的な交流が進むことが期待されます。
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