時効援用の法的期間とは
2024/09/03
時効は、一定の期間が経過することで、権利が取得できたり、消滅したりできる制度です。本ブログでは、時効に関する法的期間について詳しく解説し、どのような場合に時効を援用できるのか、またその際の注意点についても触れていきます。時効援用には様々なケースがあり、各種の法律や条文に基づいた正確な知識が求められます。時効援用を理解することで、より適切な法的対応が可能となり、依頼者にとっても大きな助けとなるでしょう。是非ご一読ください。
目次
◆時効期間の考え方◆
(1)取得時効
時効期間:占有を始めてから10年間又は20年間
期間の違いは占有を始める時点で、占有する物が自分の物ではないことを知っているかどうかにより異なります。知っている場合は20年間、知らない場合は10年間の時効期間となります。
(2)消滅時効
2020年4月1日に施行された改正民法より前に借入れをした場合と、その後に借入れをした場合では、時効期間が異なります。
○旧民法
・民法上の消滅時効の期間は、「請求できる時から10年」
個人間の借入れや信用金庫、日本政策金融公庫等からの借入れに適用されます。
・商事債権に該当する場合の消滅時効の期間は、「請求できるときから5年」
クレジットカードや消費者金融、銀行カードローン等の借入れに適用されます。
○改正民法
・客観的起算点:請求できる状態になった時から10年間
債権者が借入れの弁済期が来たことを知らない場合でも、借入れの弁済期から10年間が時効期間になります。
・主観的起算点:請求できると知った時から5年間
借金の場合、借入れの弁済期が来たことを知った時、又は、最後に支払った時から5年間が時効期間になります。
◆権利消滅のメカニズム:時効援用について理解する◆
一定期間の経過により取得時効や消滅時効が成立しますが、時効が成立した場合でも、特定の事由に該当した場合は、時効期間が更新されることがあります。
○時効更新事由
・債務の承認
・裁判上の請求
・強制執行等の手続き
この時効更新事由に該当せず、時効期間が経過している場合、時効の利益を受ける者が時効の完成を主張することにより、時効を完成させることを時効援用すると言います。取得時効の場合なら、占有している土地の本来の所有者に対して、自分が時効成立により土地を取得したことを主張する場合に使うことが多いです。また、消滅時効の場合は、債権者に対して借金は時効が成立しており返済義務はなくなっていることを伝える場合に使うことが多いです。このように、時効が成立している場合でも、援用しないと時効が完成せず、取得時効であれば自分の名義にすることができず、消滅時効であれば借金の督促や請求が続くということになります。
◆注意が必要な時効援用の落とし穴とは◆
時効期間を計算するうえで、いつから時効期間が始まっているのかという起算点を理解することは非常に重要です。なぜなら、この時効の起算点を正確に理解しておかないと、時効期間の計算に間違いをしてしまい、時効期間が不足してしたり、逆に、時効期間が経過しているにもかかわらず、時効期間が経過していないと思い違いをする場合があるからです。
・取得時効
時効期間の起算点は時効の基礎である事実が開始されたときです。土地や建物等の不動産であれば、占有を開始したときになります。
・消滅時効
時効期間の起算点は、旧民法と改正後の民放により考え方が異なっています。旧民法の場合は、「権利を行使できる時」が時効の起算点になります。借金の場合であれば、返済期日が権利を行使できる時になります。改正民法の場合、この「権利を行使できる時」という客観的起算点に加えて、「債権者が権利を行使することができることを知った時」という主観的起算点も時効の起算点とされています。借金の場合、借入れの申込時の契約で返済時期を決められており、債権者はその返済時期を把握しています。これが消滅時効における客観的起算点になります。次に、決められた返済時期に支払わないと、債権者は権利の行使として督促や請求をするようになります。通常、債権者は返済時期を把握しており、請求等の権利行使ができることも知っているため、この返済時期が主観的起算点になります。このように、借金の場合、時効における客観的起算点と主観的起算点は同じです。自分の借金が時効になっているかどうかを計算する場合、いつから支払っていないかということを確認することは重要です。時効の起算点が分からない場合は、行政書士等の法律の専門家に相談することをお勧めします。
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