時効援用した後の流れ
2024/09/10
時効援用とは、時効完成の効果を確定的に発生させるために、時効により利益を受ける者が、時効の完成を主張することです。 この手続きにより、債務者は借金の請求がなくなり、法律的に負担を免れることができます。しかし、時効援用をしても時効が完成しない場合があるため注意が必要です。このブログでは、時効援用後における流れ、留意すべきポイントや注意事項を解説します。正しい情報の把握が、今後の金銭的なトラブルを防ぎ、安心な生活への第一歩となるでしょう。
目次
◆時効援用の基本知識◆
時効援用とは、借金や未払金がある場合、時効の完成を主張することにより、特定の債務が消滅する効果が発生する手続きです。具体的には、借金や未払金の請求が法的に認められなくなることで、債務者はそれに基づく請求を拒否する権利を得ます。たとえば、通常の債権の時効は原則的に5年とされていますが、その期間が過ぎている場合、時効援用を使って請求を退けることが可能となります。このような手続きに成功することで、債務者は精神的な負担から解放され、新たな出発を始めることができるのです。時効援用は誰でも行える手続きですが、その正確な知識により期間の計算方法を理解していないことが多いので、専門的なテクニックや注意点を知ることが重要です。
◆時効援用後、時効が成立した場合◆
法律上決められた時効期間が経過している場合、時効を完成させるために、内容証明郵便等の方法により時効援用通知を債権者に送ります。その後、時効の完成が認められても、多くの場合は、特に反応はなく、債権者から積極的に時効であることを認める文書を送ってくることはありません。中には、時効が完成したため、契約書の原本を返却される場合があります。そのため、時効援用が成立しているかを確実に確認するためには債権者に連絡して聞く必要があります。そして、信用情報(いわゆるブラックリスト)に登録されている情報がいつどのように変更されるのかは債権者により対応が異なりますので、その場合も、債権者への確認が必要となります。その上で、変更された情報を確認するために信用情報の開示をすることもお勧めです。
◆時効援用後、時効が不成立の場合◆
債権者に時効援用通知を送った場合でも、次の事由に当てはまると時効の効果は発生せず、時効は未完成となります。
①訴訟提起(訴訟提起後に判決が確定した場合)
②支払督促(裁判が取下げられずに確定した場合)
③承認(裁判上によらず、借金を認めるような行為(交渉・示談等)をした場合)
なお、①と②の場合は、時効期間が判決確定後10年間になります。
また、一度時効が不成立となった場合でも、改めて時効期間が経過すれば、時効が成立しますので、時効援用通知を送って時効を完成することができます。そのため、時効が不成立になったとしても、今後の対応を検討するために時効の成立にはいつになるのかを正確に把握することが重要です。
◆時効が不成立の場合の対応◆
時効が認められず不成立だった場合、どのように対応するかを検討する必要が生じます。先ほど説明した時効成立を待って改めて時効援用する以外にも、任意整理や自己破産、個人再生等の方法により解決する方法もあります。しかし、どの方法による解決が適しているのかは、それぞれの状況に応じて検討する必要があり、また、それぞれの手続きのメリット、デメリットも異なるため、弁護士や司法書士等の専門家に相談する方がスムーズに進めることができます。
・任意整理
交渉により借入れを分割で返済できるようにする方法です。元金のみで合意できるか、将来利息をカットできるかは、債権者により異なります。長らく延滞している場合は、延滞金が加算されるため、総支払金額が元金を超えてしまうこともあります。
・自己破産
裁判所の判断により、借入の返済が免責(免除)される手続です。この手続きは裁判所へ申立をするために様々な書類を収集して書類を作成する必要があるため、ある程度の知識や経験がないと難しいところがあります。また、全ての借入先の申告が必要になるため、家(不動産)や車のローンがある場合は処分されてしまいます。
・個人再生
裁判所の判断により、借入の返済が一部免責(免除)される手続です。書類収集や作成が必要なことや全ての借入先を申告する必要があることは自己破産と同じです。しかし、住宅ローンがある場合は、住宅資金特別条項により住宅を残しながら、他の借入を圧縮して返済できるという制度があります。
◆時効援用を円滑に進めるために◆
時効援用を円滑に進めていくためのポイントは次のとおりです。
・請求書や通知書、督促書が届いても支払いはしない。
・債権者に連絡して直接話合いをしない。
・裁判所から郵便物が届いた場合は、行政書士や弁護士等の専門家に相談すること。
これらのポイントに注意して対応していけば、時効援用通知を債権者に送れば、時効が完成する場合が多くなります。時効援用の正しい知識を理解しておけば、落ち着いて対応することができます。
時効援用に関するお悩みは当事務所へご相談ください。ご連絡をお待ちしております。
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