母子福祉資金の時効
2024/10/08
時効援用とは、時効の完成を主張することにより、時効の効果を確定的に発生させる意思表示です。本ブログでは、この時効援用の制度が母子福祉資金(母子父子寡婦福祉資金貸付金制度)にも適用されるかを解説します。自分では母子福祉資金を利用していないにも関わらず、母子福祉資金の返済に困られている場合や、突然身に覚えがない母子福祉資金の通知が届いた場合の対処に役立ててください。
目次
◆母子福祉資金とは◆
母子福祉資金(母子父子寡婦福祉資金貸付金制度)とは、母子家庭又は父子家庭を対象として、就労や子供の進学費用等が必要になったときに、一般金融機関よりも低金利もしくは無利子で自治体から貸付を受けられる制度です。しかし、この母子福祉資金は貸付であり給付ではありませんので、返済の義務が生じます。また、中には、子供の学費を捻出するために、子供が未成年の時に親が代わりに申込みをしており、子供が成人になってから突然自治体から返済を求める書類が送られてきたことにより、初めて貸付を利用していたことや、この制度のことを知ったようなこともありました。利息付きであれば、請求額が高額になっている場合もあり、どうしたらいいか途方に暮れてしまう場合もあります。突然このような身に覚えがない通知が来た場合は、行政書士や弁護士などの専門家に相談しましょう。
◆母子福祉資金の時効期間◆
突然、母子福祉資金のことで返済を求める書面が送られてきて、何年も延滞していたことを知る場合もあるかと思います。利息付きの場合、元金に利息が加算されて、かなりの金額になることもあります。しかし、母子福祉資金も借金であり、一般の金融機関からの借金と同じように消滅時効を利用することにより、母子福祉資金の返済義務を消滅できる可能性があります。母子福祉資金の時効期間は、民法改正の前後により異なります。
○民法改正前:貸付日が2020年3月31日まで→10年
○民法改正後:貸付日が2020年4月1日以降→5年
返済を求められている母子福祉資金の時効期間が分からない場合は、自身で判断するよりも行政書士や弁護士などの専門家にした方が時効期間を正確に判断してもらうことができます。
◆時効成立の要件◆
時効は、一定期間が経過すれば自動的に時効が成立するのではなく、時効援用をすることにより時効が完成し、母子福祉資金であれば、この貸付金が消滅します。ただ、時効援用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
○時効の更新事由に当てはまっていない。
・裁判を起こされて判決を取られて確定している。
・差押えを受けている。
・返済している。
・借金に関する話し合いをしている。
上記のいずれかに該当すると、時効期間が更新されてしまうため、時効期間が不足する結果、時効援用をしても時効を完成することができなくなります。身に覚えがない督促や昔の支払い忘れていた借金の督促をされている場合は、時効援用により解決できる可能性がありますので、直接連絡したり、債権者と話し合ったりする前に、時効援用により解決できるかどうかを行政書士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
◆時効が不成立の場合の対処法◆
時効援用したにもかかわらず、時効の更新事由に該当したため、時効が不成立となってしまう場合があります。その場合は、母子福祉資金を返済する必要が生じますが、経済状況等により返済が困難になる場合もあります。その場合は、支払猶予や免除を申請することもできます。ただ、申請を認められるためには要件を満たすことが必要です。
(1)支払猶予の要件
要件は以下のとおりです。
・子供の就学
・突発的な災害や盗難、一時的な疾病や負傷など、やむを得ない事情により支払いが困難になった
(2)免除の要件
要件は以下のとおりです。なお、以下の要件に該当しない場合でも収入が激減して支払いが困難になった場合は、貸付金の一部が免除される可能性があります。
・貸付金を受けた人の死亡
・貸付金を受けた人の心身に重い障害を負ってしまい返済が困難に」なった場合
免除や支払猶予の申請は、都道府県ごとに定められています。また、申請書の提出後に自治体の判断により、免除や支払猶予に関する可否が決定されます。
◆時効援用がもたらす経済的利益◆
母子福祉資金は、自治体の支援制度の一つですが、給付ではなく借金として扱われますので、延滞した場合は、一般の金融機関と同じように督促されます。病気や怪我等により働くことが難しくなった結果、母子福祉資金の返済が難しくなることもあります。また、貸付内容によっては、連帯債務者や連帯保証人が付けられて、長期間の延滞金を含めて、かなりの金額の返済をその連帯債務者や連帯保証人に請求されることもあります。しかし、延滞期間が長い場合は、時効を援用することにより母子福祉資金の返済義務を消滅できる可能性があります。そして、時効援用により母子福祉資金の返済義務がなくなれば、負担が軽減されるという経済的利益が生じます。母子福祉資金の返済が困難になった場合や、母子福祉資金から身に覚えがない請求が突然来た場合は、時効援用できるかを行政書士や弁護士などの専門家に相談して解決し、安定した生活への第一歩を進めていきましょう。
時効に関するお悩みは当事務所へご相談ください。ご連絡をお待ちしております。
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