技術・人文知識・国際業務の要件を解説
2024/10/04
行政書士は、法律に基づく書類の作成や手続きの支援を行う専門家であり、近年、その業務範囲は国内外を問わず広がっています。本ブログでは、在留資格の中でもっとも代表的な資格である「技術・人文知識・国際業務(技人国)」に関する申請要件や申請に必要な書類などについて詳しく解説していきます。
目次
■「技術・人文知識・国際業務(技人国)」とは■
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」は、在留資格のひとつであり、外国人労働者が保有している専門的な知識や技術を活かして仕事に就く際に必要となる資格です。在留資格の中でも特に多くの外国人に利用されています。
○技術
例として、プログラマーやシステムエンジニア、CADオペレーターなど、主に理系分野を専攻した外国人がその技術を生かして就く仕事のことです。
○人文知識
例として、法律事務所のパラリーガル、マーケティングや広報、経営コンサルタントなど、主に文系分野を専攻した外国人が就く仕事のことです。
○国際業務
例として、通訳や翻訳、民間の語学教師、服飾デザイナーなど、外国人の感性を活かした仕事のことです。
上述のとおり、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」では、外国人が働いてきた仕事での経験や学校に通って得た知識、母国の文化や言語に関する知識などと関連がある業務であれば、日本においても「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の在留資格により仕事をすることができます。しかし、専門的な知識を必要としない単純作業や、職歴や学歴、文化や言語などと関連がない仕事であれば、「技術・人文知識・国際業務」には該当しませんので注意が必要です。
■「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の要件■
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の申請には、大学などでの専攻分野と就職先の業務内容が密接に関係するため、学歴などの条件が重視されており、この要件を満たしていない場合は不許可となります。詳しい内容は次のとおりです。
○学歴要件
・本国の大学・短大・大学院を卒業(学士や短期大学士以上の学位を取得)
・日本の大学・短大・大学院を卒業(学士や短期大学士以上の学位を取得)
・日本の専門学校を卒業している(専門士の称号を取得)
本国の大学などを卒業している場合は「日本の大学卒業に相当する」ということを証明する必要があります。また、海外の専門学校は、学歴要件の対象外となります。そして、上記学歴を満たさない場合でも、以下の特例があります。
・一定年数以上の実務経験
「技術」「人文知識」では実務経験(職歴)10年以上、「国際業務」の場合は3年以上の実務経験があることを証明することにより「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の申請ができます。
・情報処理技術の資格
日本における「情報処理安全確保支援士試験」、「情報処理技術者試験」と同様に、中国、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、台湾、マレーシア、タイ、モンゴル、バングラデシュ、シンガポール、韓国の各国で情報処理技術系の資格を取得すれば、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の申請ができます。
○給与水準が日本人と同等かそれ以上であること
外国人と日本人社員の業務内容が同じであれば、日本人社員と同等かそれ以上の給与条件でなければなりません。「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の申請時に提出する雇用契約書等により、要件を満たしているかを確認します。この要件は不許可になりやすい要件なので、特に注意しましょう。
○勤務先の経営状態が安定していること
外国人を雇用する企業の経営状態が安定しており、従業員に給与の支払いができる状態かどうかを審査されます。「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の申請時に提出する財務諸表等により、要件を満たしているかを確認します。設立してからの期間が短い場合は、より細かい書類の提出を求められることがあります。
■「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の申請方法■
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」を含む在留資格の申請人は次のとおりです。
・外国人本人
・外国人本人を雇用する企業や団体
・取次資格のある行政書士など
また、在留資格認定証明書交付の申請期間は約1~3ヶ月、在留資格変更や在留資格更新許可申請では約2週間~1ヶ月です。時期によっては申請期間が長くなる場合もあります。
外国で暮らす外国人を日本に呼び寄せるために 「技術・人文知識・国際業務(技人国)」を申請する際の流れは、次のとおりです。
①外国人と企業が雇用契約を締結する。
②企業又は行政書などが「在留資格認定証明書交付申請」を行う。
③交付された「在留資格認定証明書」を外国人本人に送付する。
④外国人本人が日本大使館に査証(ビザ)を申請する。
⑤来日して就労開始。
留学などで日本に滞在している外国人を雇用する場合は、企業との雇用契約締結後に外国人本人が「在留資格変更許可申請」を行うことになります。
■まとめ■
日本は少子高齢化社会になっており、今後ますます労働力が不足する可能性が高く、外国人労働者の必要性が高まっています。しかし、言葉や文化の違いや在留資格認定証明書交付申請などの手続きの複雑さや煩雑さ、受け入れ企業における環境の整備など、わからないことが多くて不安という方が多いのではないでしょうか。行政書士は、在留資格認定証明書交付申請など、外国人ビザの申請業務を取り扱っている専門家です。外国人雇用をしたいとお考えの場合は、行政書士への相談をお勧めします。
外国人の在留許可申請のご相談は当事務所へご連絡ください。